誰だぁ!ボストンには桜なんてないよ、って言ったの! (04.29.2001)
フェンウェイ・パークにて Photo taken by Tsunenori 'Lee' ABE
ありました。しかもけっこういろんなところに。日本より遅れることひと月、ボストンは今週末が待ちに待った桜の満開の日!坂口安吾の小説を思い出しながら、でもボストンの桜の下には死体なんか埋まってねぇだろ、なんてひとりでぶつぶつ言ってる僕。春の到来は、やっぱり桜なくしては語れない!と思うのは、やはり僕が日本人だからだろうか・・・。
でも、いったいどれぐらいの人がこの喜びを享受しているのかな、と思うとちょっぴり寂しいです。きっと僕と前の大家さん(日本人のおばちゃん)ぐらいなんだろうなぁ・・・。あ、きっともう少しいるか。
桜の季節が近づくにつれて、「ねぇねぇ、ボストンには桜ってないの?」って、国籍老若男女問わず聞いてきたけど、誰に聞いても「うーん、知らない。ないよ、きっと」ってな答え。「ワシントンDCに行けばあるけどね」って、そんなの知ってるし遠いから行けるはずないでしょ。
そう思ってあきらめてたところに、前住んでた郊外の街に桜があるとの情報。早速、前の大家さんが桜前線を毎日メールで実況報告してくれてたんだけど、そうこうしているうちに、実はボストン市内にも桜があることを発見。きのう今日と、街中を散歩してたら、あんなとこにも、こんなとこにも!あら、満開の桜!
昨日はボストン・コモンという、ボストンで(たぶん)一番有名な公演の端っこで、今日はフェンウェイ・パークという、家の近所の公園で、桜を発見して、桜の下でごろんとしてきました。ボストンでは外でアルコール類を飲むと捕まってしまうので、泣く泣くビールはあきらめたものの(ジュースの缶にビール入れて飲もうかな、とも思った)、いっぱいに広がる青空のもとで桜を眺めてるのはなんとも気持ちいいこと。これでとなりに美女でもいれば・・・、なんて思ったら、いるじゃないですか!ヒスパニック系の大学生らしき美女が、すぐとなりでごろんところがりながら勉強してるじゃないですかぁ!
「なにか話せるきっかけでもないかなぁ・・・」なんてそわそわしだしたら、ちょうど風がふわっと吹いて彼女の読んでた紙が1枚こっちに飛んできたー。さぁ、話すぞ!「うーん、気持ちいい天気だねぇ」・・・。
さりげなく言ってみると、「そうね。あ、ありがとう」と、まるで興味ない様子。
はぁ、やはりこの国では東洋系の男はモテないんだ。あー、人種的偏見だー。肌の色なんて関係ないだろ!人種差別反対!世界平和をー!・・・でも待てよ、そんな、桜に浮かれてる場合じゃなくて、日本だってそんなことで美女が「そうね。あなたは何してるの?えー、詞を書いてるんだ(本当に書いてたんだけど・・・)。え、どんな音楽?うわー、素敵。え、ちょっとお茶でも・・・」なんてうまい話は、おそらく1万回に1度の可能性だってないだろ、おい。
そうこうしているうちに、美女の彼氏登場。いきなり満面に笑顔を浮かべて出迎えた彼女は、僕が座ってるところから1メートルしか離れていないのに、いちゃいちゃとキスの嵐。あー、せっかくの桜が。せっかくの春が・・・。あー、ひとりにしてくれー。情緒を味わいたいのにー(おい、さっきまでの下心はどこへ行ったんだ!?)
そんなふうに過ぎていく春の1日。「Enjoy the
beautiful sun!(日光浴を楽しんでね!)」と言い残して、美女は彼氏と手をつないで去っていった。春はせつない季節というけど、ボストンの春の日差しは痛いほどに強くて、長い冬が明けた喜びを放出しているかのよう。せつなさというよりむしろ、躍動感みたいなものを強く感じる。桜の時期がひと月も違うんだし、きっとアメリカ人の季節感も、日本人のそれとはまた違うんだろうな、と思う。アメリカでは入学の時期も9月だし。(日本の春のせつなさは、日本の暦にも関係があると思う)
ここにずっといたら日本語に対する感覚も変わってくるのかな・・・、ってちょっと心配になった。こないだ友達からもらった「辛夷の花」って漢字読めなかったし、辛夷ってどんな花だろう、ってちょっと考えてしまった・・・。というわけで、久しぶりに詞を書いてみることにしました。曲はもう出来てます。「Good
Night KOBE」。メロディーがとってもしみる曲です。楽しみにしててくださいね!