クリスマス大作戦の巻 (12.25.2001)
2001年のクリスマス・イブ。いつもならどこかしらでア・カペラの仕事をしているんだけど、今年はなんといってもまた学生!なーんと、「冬休み」なのである。この歳になって冬休みなんて、大学の同期なんかは羨ましくて涙ちょちょ切れ、ってところなはずだけど、そんなことはお構いなし。この休みは、ボストンより格段に暖かいノースカロライナにある親友宅におじゃまー。
ってなわけで、久々に再会したマイケル。3年前に僕がいた日本の大学に留学していたこともあって、日本語はぺらぺら。日本語と英語の両方を交えながら、あの娘がどうだのあのときの彼女はどうだの、って昔話やらなんやらに花が咲く。これは、オトコノコとして万国共通あたりまえの話題。国際平和のためにも大事な会話なのだ。(ほんとかよ、おい!)
とはいえ、そんな話ばかりではそのうちネタもつきてくる。家であーだのこーだのって話してるうちに、「おい、散歩に行こうぜ」なんて話になった。「おっしゃー、天気もいいし、いっちょ歩くかー」なんていってみたものの、おいおい、ここは東京ちゃうねんで。歩いてみたところで、何もないぜ、ずっとずっとただの道。行く先行く先変わらない景色。途中道の真ん中でバク転してみたりもしたけど、当然すぐに飽きる。
「おいおい、マイケル、どうすんだよ。どこまで歩くんだ?」
「ほんとだね。It's boring. Why don't we walk
the golf course?(つまんねえよな。ゴルフコースでも歩いてみるか?」
なんてことで、道からちょっとはずれたゴルフコースに突撃!!
しかーし。ここで一つ目の関門。ゴルフコースに入るには、人家を通らなくちゃならない。これは困った。みんな仲良しこよし清しこの夜な日本社会では、人家を横切るなんてことは、決していい顔はされないにしても、「おお、こいつら近道したいねんな」ってなぐらいで済む(と思う)。でも、ここは天下のアメリカ合衆国。多くの家庭が銃を持っている。個人の領域を侵そうものなら、正当防衛だもんねー、といいつつ、神風特攻隊的人家縦断決死覚悟二人組(なぜか中国語的表現)を発見し次第、容赦なく射撃するぜ。ちっ。
そんなわけで、あーだのこーだのと喋っていた二人組は、いつの間にか言葉ひとつ発さずに、緊張した趣で人家縦断を挙行する。歩腹前進、とまではいかないものの、なんとなく身を低くして、ようやくこの関門は突破。こうなったらゴルフコースは俺たちのもんだもんねー、とばかりにアホ丸出しで騒ぐふたり。おいおいここだって私有地だぜ。
早速落ちていた松ぼっくりで、手榴弾投げ合戦。「おりゃ」「oh,
shit!」などと、第二次大戦以来のアメリカとニッポンの戦いは、ここノースカロライナでくりひろげられたのである。しかし、なにしろ平和大好きな僕らふたり。すぐにそんな野蛮な遊びはやめて、今度は同じ松ぼっくりで野球大会をはじめる。なんてことはない。その辺に落ちていた木の棒を拾ってバットにし、松ぼっくりをボールに見立ててヒーーーーーーット。
これがなんだかやけに楽しくて、燃える日米各代表約二名。「ぱこーん。打ちました、阿部選手」「うおーーー、連続デッドボール。いてーべ、ドコネラッテルンデスカー」なーんて、いやー、楽しいのなんの。しかし楽しい時間もあっという間に幕切れ。マイケルがバットを振った瞬間に「すぽーん」とバットが飛んで行き、はかなくも棒はまっぷたつ。第一回松ぼっくり野球大会は、アメリカ側の暴力的道具破壊行為によって、日本側の反則勝ちに終わったのでありました。めでたしめでたし。
続きましては、バンカーにて相撲。「僕はタカノハナネー」「よっしゃ、俺は若乃花っ!」「あー、僕、ホントはワカノハナ好きなんデショー」(彼の日本語はなぜか「デショー」がよく語尾につく)「しょうがねえなぁ、じゃあ、俺は寺尾ね」「うわっ、寺尾も強いんデショー」「いまは十両だけど俺は好きなんだよ、悪いか、がはは」
なんていいつつ、水戸泉(現役既に引退)ばりにバンカーの砂を撒き散らして、いざ、いざ、いざーーーーっ。と思いきや、さすが日本通のマイケル。「仕切り直しは3回しなくちゃいけないんデショー」。だってさ。いやぁ、確かに幕内ならそうだけどね、なんて思いつつ、結局3回の仕切り直し後、ハッケイヨーイ、ノコッター。ここは日本人の貫禄を見せて、寄り切りで寺尾金星なりっ。しかしすさかずいんちき日本通のマイケルは「うはー、ヨリキリなんて忘れてマシタ。投げるんだと思ってたのにー」なんて言い訳を始める。これだから口達者は困る。俺、体育会系だもんねー。
それにしても俺って、子供の頃こんなんばっかしてたんだよねー。いまの子達って、家でファミコンして遊ぶ(おい、ファミコンなんて死語、死語っ!)んだろうけど、僕らのころはまだまだ外で遊ぶことが主流だった気がする。夜、森の木にはちみつを塗って、次の日の朝にカブトムシを採りに行ったり、ザリガニ釣りに行ったり、なんてことは当たり前のことだったっけ。
さてさて次なる遊びは、というと、なんてったってここはゴルフコース。ちょっとブルジョア・チックにゴルフー。なーんていっても、しょせんいい歳してまだ学生やってるふたり。金なんてもちろんないから、ゴルフクラブもなければ、ボールすらない。でもそこですぐにはあきらめないのが日米国際交流的二人組。ボールを散々探した挙句、頭をしぼったひとつの結論。「池ニハキット、ボールがアルンデショー」。
そこで泥をかぶらないのがアメリカンカルチャー。泥臭いのがニッポン男児。・・・なのかどうかは分からないけど、アンチファミコン世代の僕は、はりきって靴を脱ぎ、池に足をいれて「うひょー、つめてー」と、12月の池に入ってボールを獲得。その数、なんと2個!カンペキッ。
「コレッて、イリーガルなんデショー」と、マイケル。デショーじゃねえだろ、早くいえよ、おい。「マイケル、それちょっというのが遅いんデショー」「まあ、大ジョブデショー」ってな感じで、かなりテキトーなふたり。すぐさま違法行為(なのかどうかは本当のところ分からないけど)だってことを忘れて、拾ったボールでグリーン間近に移動。手で投げる、原始的なゴルフに昂じる。
「うひょー、プロゴルファー猿ばりのはたつつみっ!」「ナンデスカ、サル??Leeはサルみたいなんデショー」「だまれっ、これはジャパニーズ・マンガなのっ」
なーんて言ってるうちに、結局手動ゴルフは同点で終了。勝負はまた明日に持ち越しなり。
みなさんは、どんなクリスマスを過ごしましたか?たまにはこんなクリスマスも悪くないもんデショー。それではみなさん、よいお年を!