ニッポンという国 (01.01.2003)

Photo taken by Tsunenori 'Lee' ABE
2002年から2003年にかけての年越しは、2年ぶりに日本で過ごしました。2年前もRag
Fairで横浜のカウントダウン・イベントに出てたし、3年前はBaby
Booで明石のカウントダウン・イベントに出てたから、ゆっくりと紅白なんてものを見ながら実家で新年を迎えたのは実に4年ぶり。その前の2年はやはり海外で過ごしていたし、この6年で丸々4年は海外で過ごしていたんだなぁ。なーんて改めて振り返ってみると、そりゃ浦島太郎状態ですよね、僕。1996年以降のテレビ番組なんてほとんど知らないし(日本で暮らしててもテレビ見てなかったし)、今日あるテレビ番組でここ30年の象徴的なテレビ番組の特集をしていたのを見て、びっくりしちゃいました。だって、全然わかんないんだもーん。80年代と90年代の前半で、テレビの記憶がまったく止まってる。ほんと時代遅れですよねー。そういえばBaby
Booやってたときも、メンバーやお客さんに化石扱いされたっけ。あはは。
そんなこんなで珍しく見たテレビ番組の数々。紅白歌合戦とか、その他もろもろ。
日本の音楽シーンも、(表に見えている面では)退化してるんちゃうか、って思うような状態ですよね。昔の歌の方が歌詞もメロもよかったりする。売れてる人の歌唱力なんかも。こりゃ困ったものだぁ。
もっとも、テレビに出ないような人たちにこそ、実力のある人たちがいっぱいいて育っているんですけど。でも、ニッポンの音楽シーン、いったいどうなっちゃうんだろう、ってマジで心配しちゃいますよね。こういう番組ばっかり見た後に。テレビ東京で洋楽のビデオクリップ特集してるの見てて、あまりの差に歴然としちゃいましたよ。U2のボノとか、レノンとか、歌そのものも歌唱力も、全然違うもんねぇ・・・。
あー、僕もがんばらなきゃ。
それにしても、耳にする曲や、今年ヒットした曲を人づてに聞いたりしていると、ほんと「癒し系」といわれるようなものが多いですよね。なんか、全体的に「ほっ」とするような・・・。でも80年代とか90年代初めの曲とかを聞いていると、「いけいけ、おりゃ、いけー」みたいな元気印の曲が多くて、70年代なんかにしても、信じられないぐらい前向きな曲が多いですよね。
どっちがいい悪いじゃないけど、これって時代を反映してるよな、って思うんです。
そういえばね、「これからのニッポン、どうなっちゃうんだろう」みたいなコメント、ほんと目立ちますよね。これって、僕にしてみたらナンセンスです。だって、みなさん、自分たちの責任を放棄してません?「どうなっちゃうんだろう?」じゃなくて、「どうしていこう?」じゃないですか?
ニッポンは確かにいま元気がない。でも、ひとりひとりがどうやって国(あるいは自分の生活)を変えていこうか、ってビジョンが、あまりに欠けてません?なんだかみんな外国人として日本を客観的に見たようなコメントばかりで、自分が「ニッポン」の一部であるということをあたかも忘れているようなことばっかり言っている。
僕は何も政治的なことを言っているんじゃないんです。ひとりひとりが、どうやって前向きに生きていくか、ということ。前ばっかり向いていると疲れるから、もちろんたまには後ろ向いたっていい。ある意味、それが今のニッポンだったりするわけだし。でも、少なくとも自分がどっちを向いていたいか、それがどう社会に貢献できるかってことは、自分がどっちを向いていようとなんとなく意識していたい。そう思うんです。
僕が中学生・高校生ぐらいの頃って、頑張る人がバカにされていじめられていました。でも僕は、そのことにいつも違和感があった。かつての日本人はもっと、頑張っていることが美徳とされていたんじゃないか。それが高度経済成長につながったのではないか・・・。でもある頃から日本人の美徳には変化が生じて、それがバブル後にツケとして膿のように出てきたんじゃないかと思うんです。
ニッポンは奢ってしまったのではないか。「頑張らなくてもクールに生きられる。成長できる」なんて勘違いしちゃったのではないか。
僕らは、そんな時代を深く反省する必要がある。いまの放漫なアメリカを見て、「あの頃のニッポンみたいだ」と思うけど、それを見て反面教師とするべきです。
僕は、いまのニッポンに必要なのは、個々人の活力だと思う。「ニッポンはどうなるんだろう」じゃなくて、「僕はこうありたい。こんなことをしたい。そしてそれが社会にもこういう形で貢献するだろう。ニッポンに少しでも変化をもたらすだろう。」といった、新しい形での、いい意味で個人主義。今のニッポンに欠けているのは、こういう個人の夢やビジョンを明確に持った人材なんです。そういった人材こそが、社会の活力になるのに・・・。
お互いの傷をなめあうだけなら、「癒し系」なんて、僕には響かない。僕もアメリカ生活も3年目迎え、いよいよミュージシャンとしてアメリカでも本格的に動き出す年になる。いよいよ勝負の年なのかもしれない。2003年、僕はひたすら頑張ってみたい。アメリカで、日本で、少しでも多くの人たちに、自分の伝えたい音楽を伝えていきたい。その音楽も、より心に響くものを作れるよう、努力していきたい。そして、その活力や歌に込めたひとつひとつの言葉、そしてやわらかいハーモニーや力強い音のひとつひとつを通して、何らかのポジティブな力を社会に投げかけていけたら、と思う。
今年も、ここを訪れるみなさんに少しでも多くの幸せがありますように。あけましておめでとうございます。今年もみなさん、よろしくお願いします!
平成15年元旦
つね