CDという表現手段 (2.11.2003)
Photo taken by Tsunenori 'Lee' ABE
Syncopationのレコーディングが、来週から始まる。
結成2年目。これまで紆余曲折を経ながらも、思った以上に成長してきたこのグループ。昨年10月のメンバーチェンジで本当に、ひと皮どころか十皮ぐらい向けたグループに生まれ変わった。この新メンバーふたりがいなかったら、レコーディングなんて考えられなかっただろう。
なかでもクリスティーンが今回のCD作成に及ぼしたパワーは計りしれない。予算がなかなか集まらなくて、最終的にスタジオを押さえるのを断念しようとしていた僕を、「いや、スタジオは絶対に押さえるべきよ。やることになったらきっとみんな必死になるし、そうしたらなんとかなるようになる気がするの」って、アメリカ人でもなかなかいないようなポジティブさで説得したのが彼女だった。
そして、本当になんとかなった。ぎりぎりながらも予算の目処がなんとか立ち、レコーディングは目の前だ。
このレコーディングに関わるミュージシャンたちの顔ぶれは、自分たちでも信じられないほどの豪華キャストだ。ゲスト・トランペッターにジャズ・トランペット界の大御所・タイガー大越氏、ホーン・ディレクターに元ウディー・ハーマン・オーケストラのアレンジャー兼トロンボーン奏者のフィル・ウィルソン氏、ヴォーカル・アドバイザーにVOX
ONEのポール・スティラー氏を迎え、収録曲の中にはやはりVOX
ONEの松岡由美子氏(我が師匠です)が編曲をひとつ提供してくれるなど、もうびっくりの面々。
みなさん、これは世界第一線で活躍する人たちなんです!!!
うおーーーー!
と、叫びたくなってしまうほど、僕も今回の顔ぶれには興奮しまくり。このほかにも書ききれないぐらい素晴らしいミュージシャンたちと出来るんだけど、この豪華な面々と携えてプロデュースしろってんだから、それはそれは僕にかかってくるプレッシャーも並大抵なものではないのだ。でもそれを乗り越えて素晴らしい作品を作り上げてこそ、快く協力してくれている彼らに対する最大の恩返しになるのだと思う。
Syncopationのメンバーも、本当に素晴らしい仲間たちであり、尊敬するミュージシャンである。彼らと歌うようになって、僕の音楽レベルは格段に向上した。レベルの高いミュージシャンと一緒に音楽をすると、自分のレベルも上がる。彼らと過ごす日々は、まさにそんな日々だ。そんな彼らとだからこそ、こんなすごいミュージシャンたちがこぞってレコーディングに関わってくれるのだと思う。
ボーカル譜のみならず、ホーン譜を含めたバンド譜をすべて書き上げ、フィルのチェックを受けてまた書き直し・・・。そんな日々が続き、日本の正月で3キロ太って帰ってきた体は、また元の体に戻ってしまった。でも、徹夜続きの日々も、決して辛くはない。やはり音楽が心から好きなのだろう。オーストラリア留学時代、国際関係の分野に進むか音楽の道に進むか迷ったときに、「論文は好きだけど辛いことも多い。でも、曲を書いていて辛いと思ったことはない!」ということに気がつき、僕はミュージシャンという職業を選ぶことを決めた。それは、決して間違っていなかったのだ。
CDは冬の時代に入っている。でも、音楽を表現することを生業とする僕にとって、CDは表現手段の重要なひとつとして今でも健在である。5月に発売予定のSyncopationファーストアルバム。3月1日からこのサイトで先行予約の始まる来日公演に、いーっぱいの夢を詰めて持って行きたい。